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2007年7月 1日 (日)

建築士の責任

少し古い書き込みに、独立行政法人「国民生活センター」のホームページに次のような判決がおりたと記載されています。

欠陥建売住宅を購入した者に対する建築士の責任

 本件は、購入した建売住宅に重大な欠陥があったという事例である。この建物は建築士による設計およびエ事監理が必要とされるものだったため、建築確認申請の際に一級建築士が建築確認申請書の工事監理者名欄に自己の氏名を記載し、かつエ事監理を承認する旨の届出書に署名押印して提出したが、実際にはエ事監理等をしていなかった。そこで、本件建物の購入者は売買契約を解除し、建築士に損害賠償を求めたところ、建築士の責任が認められた。(最高裁判所平成15 年11月14日判決 上告棄却 判例時報1842号38ページ)

 解説すると、家を造る時に行政に提出する「確認申請書」というものがあるが、ここの工事監理者として記載された一級建築士「A」は、全く工事監理をしておらず、名義だけを「B」建設会社に貸して確認申請を提出したため、完成した建物が図面と違う建物になり、それが重大な欠陥をつくり建て主(買主)に被害を与えた。そのため多大な損害賠償をすることになった。というものである。今までの判例では、この建築士「A」と買主(建て主)に「工事監理契約」がないということで、その賠償責任は小さいという判決が殆どであった。しかし今回の判決は、社会的にみて工事監理者の担う責任は大きく、名義貸しは許されないとの判断である。  

 この名義貸しは、一般的に行われている事で、中堅クラスの建設会社、ハウスメーカーでは、その会社にいる社員の建築士の名前を書くことが多い。しかし、その建築士が工事監理を行うことは非常にまれで、社内名義貸しが殆どである。従って家を建設会社やハウスメーカーで造った殆どの人が、自分の家の工事監理者が誰かわからない。更には、設計者も誰だかわからない人がいるはずです。ここでいう設計者とは「確認申請書」に記載されている設計者であり、設計担当者ではない。そういえば自分の家の確認申請書を見たことがないという方も多いだろう。それは建設会社が、建て主にそれを見せたくないので、お渡ししていないか、他の書類といっしょに紛れ込ませて渡しているからであろう。

「工事監理者なんてわからなくてもいいよ」という声もあろうが、法律では設計者、工事監理者は、もし重大な瑕疵があれば個人で責を負うこともあるくらい社会的に大きい責任がある。そんな人の名前を知らなくていいよということは、理解しがたいと思えるのは私だけであろうか?

  「国民生活センター」のホームページからの引用です。

ハウスメーカーさんなどで、確認申請書に記載されている設計者・工事監理者として社内名義貸しをしている方は、自分が知らないとこで、現場で行なわれて事に、不安を感じていないのでしょうか?

今回の法改正で、確認申請書を提出する際に、名義貸し等も受付窓口でトラブルのもとは水際で防げると思うのに、ハウスメーカーさんでは今まで通りOKと言う事ですと、所属している建築士の方達はこれから先を考えると心配じゃないのでしょうか…

6月20日施行のバタバタ改正建築基準法、時間が経過すると少しずつですが分かって来ました。

今回の改正で、受付時にチェックされる書類が増えました。

法改正により法第18条の3に規定する確認審査等に関する指針(以下指針といいます。)に基づき厳格な審査を行うことが定められました。受付時には、①正本及び副本の整合性、②設計者の記載、③設計者等の資格等、④構造計算の安全証明書の写しの添付、⑤設計者の業務範囲、⑥構造計算適合性判定の要否の6項目について確認することとなっています。②③については、事務所登録の写し、建築士免許証の写しが必要です。

それと、ブログで先月8日に書き込みをした内容と少し違っていた所が有ります。

「住宅の確認申請の場合、特例というのがあって、こまかい部分は建築士がチェックすればよいことになっていました。この特例がなくなり…」と書きましたが…、

結局今回の改正では、住宅(木造2階建)の確認申請は、4号の特例『建築士の設計』の扱いを残した上で、図面に要求されていない事は一切記入するな。不要な図面は提出するなとか、書類上の整合性を持たす為だけと思われる内容です。

今までも、現場で施工する上で、ミスを少なくする為に出来るだけ詳細な図面があったほうが良いと考えて図面を作っていましたが、確認申請では何も書かなくって良いとの事。

むしろ、余計な図面を付けた事で審査側では迷惑だし、付ける事で見ないと行けないし、もし図面に間違いがあれば出し直し。

1.筋かいは図面に書くな

2.矩計図はつけるな

3.24時間換気も図面に書くな

4.筋かい計算(バランス計算)も不要

5.接合金物図(軸組み図)も書くな、ですって。

しかし「確認申請に添付を必要とされていない=検討すら不要」は誤った解釈だ。建築士は、設計した物件について建築基準法に照らして安全で安心な建物を提供する義務がある。確認申請への添付の有り無しにかかわらず、設計した建物の安全性などに対する責任はついて回る。

でもそれも、確認申請に添付しなくてもいいのは、来年末までです。

だったら今回の改正から添付する事を義務にすれば良いのに、中途半端な改正です。

だから、バタバタ改正建築基準法なんて言っている建築士が多いのです。

事実、市内にある建築検査機構・行政の中でも6月20日ぎりぎりまで、筋かいの検討書・伏せ図等の審査がこれから必要になると覚悟していたみたいです。

そんな改正建築基準法、いったい「誰」のためになるのでしょうか。

図面が無かったら、現場側では、確実に出来上がりに申請内容との違いが出てきます。

職人さん達から設計者に対して質問などが有れば指示はできますが、毎日、設計(建築士)・監理者が現場に張り付いているのは不可能。現場のために考えても、詳細な図面があれば品質の高い法律以上の建物が作れると思うのに、図面がいらないと言うのでは期待するのは無理。誤字脱字のミスが少しくらいあったとしても、現場で勝手に判断される方がどれだけ危険な事か、分かっていないのが国交省の人達です。

この分だと最後は、全てを建築士の責任にすれば良いからですかー。

これからの建築士の立場ってどうなるのでしょうか。

締め付けだけがどんどん強くなるのは確実。

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